「兜町の風雲児」長男の阪大院助教、超エリートの素顔は…相場操縦容疑で逮捕

 昭和50年代から平成のバブル期にかけて派手な仕手戦を演じ「兜町の風雲児」と呼ばれた大手仕手グループ「誠備グループ」の元代表、加藤●(=日の下に高、あきら)容疑者(74)=東京都港区=らが株価を不正につり上げ、約60億円の売却益を得ていたとされる疑惑で、加藤容疑者とともに金融商品取引法違反(相場操縦)容疑で東京地検特捜部に逮捕された長男で大阪大大学院助教の恭(たかし)容疑者(36)=大阪府豊中市=は、数学や統計学などを駆使して金融の問題に取り組む数理ファイナンスを専門とする研究者だった。

東大院で博士号、期待の若手研究者

 恭容疑者は、東京大大学院で数理科学の博士号を取得した後、阪大大学院基礎工学研究科で助教を務めている。金融市場の流動性や株価モデル、デリバティブ価格計算手法など、実際の金融市場にも関係する研究に携わっていたという。

 今年9月に京都市内で開かれた日本数学会のワークショップでは、経済や金融と数学の関連をテーマに発表するなど、若手研究者として活躍していた。

 加藤容疑者と妻の幸子容疑者(74)、恭容疑者の3人は、平成24年2月15日~3月2日の間に、当時大証1部に上場していた化学メーカー「新日本理化」の株式について、高値を形成する目的で恭容疑者ら4人の名義で大量の買い注文を入れるなどし、株価を871円から1297円までつり上げたとして逮捕された。加藤容疑者らは新日本理化を含め保有していた4銘柄について、計約60億円の売却益を得ていたという。RMT

 加藤容疑者は「般若の会」という団体名で株式サイトを運営。23年11月以降、サイトのコラムに、加藤容疑者の実名で、新日本理化株を示唆し、過去に加藤容疑者が行った仕手戦で株価が急騰したケースを示しながら「同じように大相場になる」などと株価が上昇するかのような書き込みをしたとされる。

 こうした行為が金商法上、株価を変動させる目的で根拠のない情報を流す「風説の流布」に当たる疑いもあるとみて、特捜部は捜査している。